今年読んだ面白い小説ベスト5

5位

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

 

野尻抱介を年始に一気に読んだら、6月頃深センであえて嬉しかった。

ピアピア動画とかふわふわの泉も良いが、一番密度が濃厚だと感じるのがこの表題作。

ラスト1ページに畏怖に近い感動を覚える。未知へのあこがれを純粋に書ける作者は貴重。

4位  

フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)

フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)

 

実験室に宇宙を作る話。十五分ぐらいで読める。限りなく繊細で雄大。 

 3位

インテリぶる推理少女とハメたいせんせい In terrible silly show, Jawed at hermitlike SENSEI (HJ文庫)

インテリぶる推理少女とハメたいせんせい In terrible silly show, Jawed at hermitlike SENSEI (HJ文庫)

 

夢野久作ラノベ書いたらこんな感じになるんだろうなという小説。既に優れたレビューがあるのでそっち読んで欲しい。

強姦、ミステリ、そして倫理。―『インテリぶる推理少女とハメたいせんせい In terrible silly show, Jawed at hermitlike SENSEI』 - 脳髄にアイスピック

エロい描写はない。ジャンルでいうならメタミステリー?

 2位

「全員殺さないと出れない」というよくある感じのデスゲーム物かと思ったら、あさっての方向に話が飛んでいった。一番似ているものはセルオートマトン

セル・オートマトン - Wikipedia

ルールは単純:

  1. “ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n‐m=1とせよ。時間は無制限とする” 

  2. 部屋にはドアが2つあり、片方が開く。
  3. ドアを開けると完全に同じ部屋があり、そこには卒業生がひとり寝ている。
  4. 部屋の数は無限である。

このルールの元に卒業生たちも作者も好き放題する。壁を掘る、ドアを破壊する。穴を掘るなどは序の口。ネタバレになるので書けないけど、デスゲーム好きな人もセルオートマトン好きな人も、文明史が好きな人も読んで欲しい。

1位

ダンゲロス1969

ダンゲロス1969

 

ダンゲロスシリーズの一つ、過去作は読まなくても、特に問題なく読めるはず。

 特殊能力者がたくさんいる世界での学園紛争をえがいた作品。この作品において、特殊能力は妄想が極まって覚醒するもので、総じて下品なものが多い。

例1:「任意の空間に地球上の誰かの陰茎をテレポートさせる能力」敵を窒息させたり、足場に使ったりする。

例2:「人糞と炎を変換する能力」常にうんこを食べてる、食糞刑事の持つ能力、この刑事が人格者だったりするからたちが悪い。

こんなどうしようもない能力ばかりの能力者が智謀を尽くして学園紛争を戦う話。読む人は選ぶが、今年一番の小説であった。