メールの履歴を読んで一ヶ月間の私生活日記を書く 「貧困の終焉」と「夜這いの民俗学」のレビューを含む。

6/13 サニプレのなおこと食事。三条の蒸し野菜やでご飯を食べる。うまい。砂漠のバラを買った。

6/15 畷高祭をモリレイと見に行った。
二年生が全員お笑いをやっていることに九州人として衝撃を受けていた。
確かにそういわれてみればすごいことかも。
父とオーディオを買い物に行った。買おうと思った日に買うのが平田家流。

6/16 インドビザを取りに行ったが失敗。
そもそも人間は、というよりあらゆる生き物はどこに行こうが住もうが自由なはずなのに、どうして誰かの許可がいるのだ。
ビザにもパスポートにも入国審査にも出国審査にもそもそも国籍という制度にたいして怒りを感じる。

京都に戻る前に、大阪で高校生の友人と食事をする。
人間の喜びや悩みってのは何歳になっても変わらないもんだなと思った。

夕ご飯は東京からきたマツナリと食う。

6/22マツナリの家に泊まった。マツナリの後輩と、飲みにも行った。
ハノイであった陽子さんと食事。

貧困の終焉」という本を読む。
これはここ数年の中で最高の名著だ。貧困問題に関心がある人は必読の書。

アマゾンより内容の説明を引用すると。

内容(「BOOK」データベースより)
現在、全人類のうち10億人が飢餓・疫病・地理的な孤立のために「貧困の罠」から抜け出せず、1日1ドル未満で生活することを強いられている。そのうち、生きる闘いに破れ、死に追いやられる人は毎日二万人もいる。しかし、人的資源の確保とインフラの整備さえ行なわれれば、自然と促される経済活動によって貧困を過去のものとすることができるのだ。そして、そのために必要な援助額は先進各国のGNPのたかだが1パーセントに満たない。私たちは、人類史上初めて「貧困問題を解決できる可能性を手にした世代」なのである。東欧革命中のポーランド、解体直後のロシアなど、世界各国の歴史的局面で経済政策の顧問を務め、トップの政治家たちに助言を与えてきた国際開発の第一人者が、その豊かな経験を振り返りながら、貧困をなくすための方策を明らかにする力強い希望の書。

内容(「MARC」データベースより)
経済的な自立を阻む「貧困の罠」から人々を救い出すことができれば、人類の5分の1を覆う飢餓は根絶でき、2025年までに貧困問題は解決する! その実際的な秘策を、世界で最も重要な経済学者と評さ
れる著者が明かす。

で、貧困の罠の構成要素とは具体的に以下にあげられる(安井 至の市民のための環境学ガイドより引用)

「貧困の罠」の構成要素
(1)貯蓄が無い
(2)資産の拡大を妨害する要素が多い
(3)テクノロジーが後退する
(4)通商を支えるインフラがない。アフリカには、海の無い国が多い。
(5)天然資源(地力のようなもの)が衰退する
(6)自然災害が起きる
(7)マラリア・エイズなどに限らず、あらゆる健康被害が多い
(8)人口を増やす必然性がある
(9)政府が借金まみれ
(10)文化的な背景による女性の地位の低さ
(11)識字率の低さ

で具体的な秘策とはこれらの問題を一つ一つその国に応じてしらみつぶしにつぶして、正のスパイラルを作ることである。
また、本書では反グローバリズム運動に対する辛辣な批判も記されているのでこの方面に関心がある人も手に取ることをお勧めする。


6/25 夕食時にコバルトさんがうちに来る。けどすぐに帰っていった。

6/26 ようやくインドビザを取る。幼馴染の華ちゃんに、トルコ出発前の注意点などを大阪で伝える。

6/29 夜、寮のAさんとお茶とお酒を飲んだ。話してみると共通の知り合いが多いこと。五種類の別のルートで友達の友達だった。文学部、寮、サイクリング部、環境、barサークル。ペットの洞窟ミミズを見せてくれた。とても面白い人だ。

6/30 サニプレのさとこさんとさるぅやで夕食。

7/1 ちゅんたと草原カフェで夕食。

7/2 スカイプで華ちゃんとトルコのホテルの経営についてアドバイスを与える。

7/5 貧困の終焉マクロ経済学に興味をもったので教科書を購入。

6月の間に読んだもう一つの面白い本が、赤松啓介
「夜這いの民俗学・夜這いの性愛論」

内容(「BOOK」データベースより)
筆下し、水揚げ、若衆入り、夜這い…。ムラであれマチであれ、伝統的日本社会は性に対し実におおらかで、筒抜けで、公明正大であった。日本民俗学の父・柳田国男は“常民の民俗学”を樹ち立てたが、赤松は、「性とやくざと天皇」を対象としない柳田を批判し、“非常民の民俗学”を構築し、柳田が切り捨ててきた性民俗や性生活の実像を庶民のあいだに分け入り生き生きとした語り口調で記録した。『夜這いの民俗学』『夜這いの性愛論』の二冊を合本した本書は、性民俗の偉大なフィールド・ワーカー赤松啓介のかけがえのない足跡を伝える。

(僕の感想)
あとがきで上野千鶴子が書いてあるが、明治期に政府により輸入され戦後ようやく定着したキリスト教的貞操道徳が、非常に早いスパンで消え去りつつあるのは興味深いことだ。僕は60年代と70年代の恋愛マニュアル本を読んだことがあるが、その際に道徳の変化が一世代にも満たない速さで進行して行ったことに対し驚きを感じたことがある。

この本で描かれている「ムラにおける性」はたしかにおおらかではあるが、自由ではない(性を管理しているのはあくまで共同体であり、個人ではない)ことにも留意せねばならないであろう。

僕は昔は良かったとも悪かったとも思うまい。文化や価値観といったものに貴賎はないからである。

ちなみに柏木ハルコの漫画「花園メリーゴーランド」はこの本を元に、新旧の価値観の対立を繊細に描写していている優れた作品である。

一つ気になったのだが、この赤松氏に対する評価は民俗を研究している人たちの間ではどうなのだろう?